【新人OT向け】回復期リハビリでの作業療法評価

【新人OT向け】回復期リハビリでの作業療法評価

こんにちはk-hippoです。

私は作業療法士として身体障害領域(回復期リハビリテーション)で働き8年目(2019年4月時点)となりました。まだまだ経験も浅く、実績も全国学会発表3回、県学会2回、全国誌論文1本、地方誌論文1本と少ないですが、8年間働いてきた私の臨床思考が少しでも役に立てばと思い記事を書きます。

この記事を見ることで、回復期リハの作業療法士として、どの点に着目して対象者を評価するか?家族からの情報収集や関わりは?障害の捉え方や生活背景の捉え方は?などがある程度理解できるのではないかと思います。

最優先に考えるべきはなにか?

「本人・家族が望む(実現可能な)生活を送るために支援する」

ということが最優先かと考えています。

一番に聞くことは、本人や家族が望む今後の生活です。そのために何ができるのか?を最優先事項とします。そうすると、何を評価すべきか?という主軸がブレずに評価の選択や情報収集ができると思います。

作業療法士になりたてのセラピストはどうしてもボトムアップの考え方で対象者を評価してしまう傾向にあります。(別にボトムアップ評価が悪い訳ではありません。)そうすると、病気・病態から対象者をみて、本人の思いや家族の思いなどに気がつくことが遅れたりします。対象者の方とラポール(信頼)を形成するには、できるだけ早く本人・家族の希望とアプローチを直結させることが必要です。

例えば・・・

右脳塞症を発症し、左片麻痺、注意障害を呈した65歳男性が回復期病棟に入院している。同年齢の妻と2人暮らし。仕事は会社員をしていたが、60歳で退職。退職後は畑や田んぼで農業を行なっていた。妻は家事全般を行い、買い物や近所の方々と出かける以外は家にいる。

このような対象者がいた時に、病態や家族構成、役割から評価を選定することはある程度できると思いますが、何を望んでいるかの情報が分かれば、さらに深く評価を選定することができると思います。

妻より「今までは主人は自動車を運転していたんです。買い物は主人につれていてもらっていました。できればそれができるようになって欲しいんです。あとは、畑にでるのがすごく楽しそうで、ちょっとでもいいから田畑の世話ができるようになってくれたら。。。」

本人より「とにかく自分で歩きたい。トイレとか風呂とかは妻に手伝ってもらうのは体裁が悪い。できれば畑とかにもう一回でようと思う。私が世話をせんかったら、誰もできん。」

この2つの希望を聞くだけでも、グンとこれからリハビリテーションとしてやらなければならない方向性が見えてきました。機能的評価は全くしていないにも関わらず、目指すべき方向性は見えたと思います。

「夫は介護なしでの家での生活を望んでおり、妻は自動車運転をもう一度して欲しいと思っている。畑に関しては双方が望んでいる。」これをにします。

評価の選定について

軸がハッキリ見えてきたら、次はそれが実現可能*かどうかの評価をしなくてはなりません。(*入院時に判断することではなく、入院中に評価–アプローチ–再評価を繰り返しながら判断していけば大丈夫です。)

この方を例にすると

  • 自宅に帰ることが必要
  • セルフケアが自立し、妻の介助なく日常生活を送ることができる
  • 歩行での移動が行える(これは介助あり/なし、補助具あり/なし問わず)
  • 自動車の運転ができる

ということに対して評価が必要そうです。さらに細分化していきましょう。

  • 自宅に帰ることが必要→自宅はどんな環境?周辺の環境は?
  • セルフケアが自立→今のFIMの状態は?日中夜間で差はない?自宅環境でのセルフケアは行えそう?
  • 歩行での移動→いつどんな時にバランスを崩す?不整地は歩ける?歩行補助具はどんなものが必要?
  • 自動車の運転ができる→自動車運転に必要な高次脳機能は有している?ハンドル、アクセルブレーキの操作は可能?視野狭窄や視野欠損はない?

こんなようになりますかね。ここまで来たらあとは各職種(PT、OT、ST)で具体的な評価バッテリーを選んだり、動作評価をしたり、夜間状況をNsに確認したりする段階になります。

  • 自宅環境の聴取、退院前訪問指導
  • FIMの評価(日中/夜間)、できるADLとしているADLの確認、家の環境を模しての動作確認
  • BBS、10mWT、TUGなどの歩行・バランス評価、歩行補助具の選定、転倒恐怖感(FES)の評価、自宅周辺や田畑の環境評価など
  • 自動車運転に関わる評価(SDSA、MMSE、BIT、TMT、WAISなど)や可能であればドライブシミュレーターや自動車教習所での確認、実際に運転する範囲や交通量の確認、夜間は運転するかどうかなど

と評価をある程度絞り込める状況になりました。これらの評価はボトムからではなく、トップダウン的に導き出したものです。MMTやROMなどの評価はこれからさらに細分化した問題点を解決するために評価していきます。(かなり長くなるので、ここでは割愛します。)

本人・家族から聴取した軸があれば、評価しておかなければならないことが導きだせると思います。具体的な評価の選定に関しては知識の問題もあるので、どんな評価があるのか?ということも先輩に聞いたり、論文を調べたり、本を読んだりして学びましょう。

終わりに

今回の記事では回復期リハビリでの作業療法評価の臨床思考を紹介させていただきました。冒頭で述べたように、あくまで私の経験によるものであり、対象者の方個別に柔軟に対応していく必要性があります。

一個人の経験というものはエビデンスレベルでいうと最低の部分です(笑)しかし、考え方というものは形としてこうすれば良いというのが立証されるものでもありません。

臨床思考は仕事をして、論文やガイドラインを読みながら日々目の前の対象者に向き合えば自分なりのものが確立してきます。

今回の記事が自分の離床思考ができるまでの一助となれば幸いです。