早期・集中的リハビリテーションが日常生活動作(ADL)に与える影響とは?

エビデンスの知識

こんにちは〜ヒポ太郎です

今回は『早期・集中的リハビリテーションが日常生活動作(ADL)に与える影響』というテーマで英語論文を紹介していきたいと思います

本日紹介する論文はこちら

Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke
A Nationwide Retrospective Cohort Study in Japan 

日本語訳としては【虚血性脳卒中患者におけるリハビリテーションのアウトカムへの影響〜日本全国の後ろ向きコホート研究〜】というような感じです

記事の最後に論文ダウンロードのリンクを貼っておきますので、

記事の内容をみて、興味を持ったら、原著を読んでみてください

本記記事を読むにあたってのお願い:要約はできるだけ正しく行うよう心がけておりますが、専門の翻訳家ではありません。少しでも読んだ方の臨床のお手伝いができることを目的としています。論文が気になった方は、必ず原著をお読みくださいまし・・・

早くからのリハビリってやった方がいいってガイドラインではいわれてるけど、早くからリハビリしてどんな影響があるのかな??

  • 早期・集中的リハビリテーションが日常生活に与える影響とは?
  • 集中的リハビリテーションってどれくらいの量なのか?

結論:早期・集中的リハビリテーションによってADLは改善する

この論文を読むことで以下のことがわかります

  1. 急性期での早期リハ、集中的リハが良いか、悪いかがわかる
  2. 急性期でのリハをどのように行うべきかが考えられるようになる
  3. どれだけの量を行うことがよいかがわかる

ではみていきましょう

タイトル【title】:Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke A Nationwide Retrospective Cohort Study in Japan 

虚血性脳卒中患者におけるリハビリテーションのアウトカムへの影響〜日本全国の後ろ向きコホート研究〜

概要【abstract】

本研究は虚血性脳卒中患者における日常生活動作(ADL)改善に対するリハビリテーションのタイミングと強度の同時効果を検討することを目的とした

日本の入院データベースを用いて、2012年4月から2014年3月までにリハビリテーションを受けた虚血性脳卒中患者(n=100,719)を解析した

早期リハビリテーションは入院後3日以内に開始されたものと定義

1日あたりの平均リハビリテーション強度は、入院中のリハビリテーションの総単位を入院期間で割ったものとして算出

早期および集中的なリハビリテーションとADLスコア改善の割合との関連を検討するために、多変量入力を用いた多変量ロジスティック回帰分析と操作変数分析を行なった

結果としてはADLスコア改善の割合は早期および集中的リハビリテーション群で高かった

多変量ロジスティック回帰分析では早期リハビリテーション(オッズ比:1.08、95%信頼区間:1.04~1.13、P<0.01)および5.0 単位/日以上の集中リハビリテーション(オッズ比:1.87、95%信頼区間:1.69~2.07、P<0.01)でADLの有意な改善が観察された

操作変数分析ではADL改善の割合の増加は、早期リハビリテーション(リスク差:2.8%、95%信頼区間:2.0~3.4%、P<0.001)および集中的リハビリテーション(リスク差:5.6%、95%信頼区間:4.6~6.6%、P<0.001)と関連していることが示された

今回の結果から,虚血性脳卒中患者において,早期および集中的なリハビリテーションが入院中のADLを改善することが示唆された

以上が概要になります

気になった方は以下からが本文となりますので、見てみてください

序論【introduction】

脳卒中患者に対する早期のリハビリテーションは、筋骨格系、心血管系、呼吸器系、免疫系への悪影響を防ぎ、不動関連の合併症を軽減する可能性がある

リハビリテーションを開始する時期やトレーニングの強度については、まだ議論の余地がある

リハビリテーションを開始する時期については、最適な結果を得るために脳卒中後のリハビリテーションは発症直後に開始すべきであることがいくつかの研究によって示唆されている

以前のメタアナリシスでは、早期の再訓練と転帰の改善との間に正の相関関係があることが示されており

最近の対照研究(AVERT研究)では、発症後24時間以内の超早期の訓練が実行可能で安全性が高く、歩行回復の改善が期待できることが示された

リハビリテーションの強度に関しては、いくつかのメタ解析で、リハビリテーションの強度とADLの機能的改善との間に弱から中程度の関係があることが報告されている

しかし、これらの研究では、リハビリテーションを開始するタイミングは考慮されていなかった

本研究の目的は、日本の全国入院患者データベースを用いて、リハビリテーション開始時期とトレーニング強度の両方を考慮したリハビリテーションが虚血性脳卒中患者のADL改善に及ぼす影響を検討することである

序論まとめ

  • 脳卒中患者に対しての早期リハビリ(発症後3日以内のリハ)は様々な良い影響があるといわれている
  • 効果を上げるためのリハビリを開始する時期や運動強度については、まだ明確ではない
  • また強度については強度とADLの改善に関連があるとされているが、開始時期については言及されていない

方法【methods】

2012年4月から2014年3月までの間に虚血性脳卒中(ICD-10コード:I63)と診断されて入院し、退院した患者を同定した

対象としたのは

  • 20歳以上の患者
  • 入院前に自立した日常生活動作があった患者(mRSスコア≦2)
  • 発症後3日以内に入院した患者
  • 入院中にリハビリテーションを受けた患者
  • 虚血性脳卒中の患者を年間平均10人以上受け入れている病院に入院した患者

対象者は100,791名(早期リハ群:74229名、非早期リハ群:26562名)

本研究では、入院中に発生した合併症として、肺炎(J11~J18、J60)、尿路感染症(N10、N12、N30、M39.0)、心不全(I50)を引き起こした患者データも抽出した

早期リハビリテーションを、入院後3日以内に医師、理学療法士、作業療法士、言語療法士によって管理される脳卒中後の専門的なリハビリテーションプログラムと定義した

主要アウトカムは、各患者の入院から退院までのADLスコアの改善とした

ADL 評価は BI を算出して行った。本研究では、入退院時のBIの差を算出し、改善群(≧1)と非改善群(≦0)の2群に分類した

1日あたりの平均トレーニング強度は、入院中のリハビリテーションの総単位を入院期間で割って算出した

平均トレーニング強度は、1.0、1.1-2.0、2.1-3.0、3.1-4.0、4.1-5.0、5.1 単位/日以上の6群に分類した

先行研究の定義に沿い、集中的なリハビリテーションを3.0 単位/日以上で実施されたリハビリテーションと定義した

カテゴリー変数を比較するためにχ2 検定を用い、早期リハビリテーション群と非早期リハビリテーション群、およびリハビリテーション強度のカテゴリーが異なる群間の連続変数を比較するためにMann- Whitney U 検定を用いた

すべての統計解析は、IBM SPSS statistics, version 22.0 (IBM, Armonk, NY) およびStata version 12 (StataCorp, College Station, TX) を用いて行った。P<0.05の値は有意とした

方法まとめ

  • 2012年4月から2014年3月までに虚血性脳卒中(脳梗塞など)になった人を対象とした
  • 対象者は発症後3日以内にリハ開始した人を『早期リハ群』とした
  • さらに集中的リハビリテーションは1日あたり3単位以上と定義し、提供量は1単位(20分)、1〜2単位、2〜3単位、3〜4単位、4〜5単位、5単位以上に分けた

結果【Results】

874 病院から虚血性脳卒中患者 183 551 例を同定した。対象患者は 100791 例で,早期リハビリテーションを実施した 74229 例(73.6%),集中的リハビリテーションを実施した 29317 例(29.1%)であった

全体の院内死亡率は3.0%(n=2976)で、平均(SD)在院日数は30.7日(38.1)であった。

以下の表はデータ欠損のある全患者(n=100791)と、早期(n=74229)と非早期(n=26562)のリハビリテーション群の患者の特徴と転帰を示したものである

  • 早期リハビリテーション群の患者は,若く男性であること,JCSスコアが低いこと,グリセオールの使用や血管内治療を受けている可能性が有意に低かった
  • 早期リハビリテーション群の患者は合併症の可能性が有意に低かった
  • 早期リハビリテーション群ではSCUへの入院の可能性が高かった
  • 大規模病院では早期リハビリテーションを実施する可能性が高かった

入退院時のBIは早期リハビリテーション群で有意に高く,ADLスコアの入退院時差も早期リハビリテーション群で有意に高かった(23.4 ver-sus 20.9; P<0.001)

mRSスコアが0の患者は早期リハビリテーションを受ける可能性が高く、入院前に救急車を利用した患者は早期リハビリテーションを受ける可能性が低かった

ADLが改善した患者の割合は、より集中的なリハビリテーション群とより早期のリハビリテーション群で高かった

Impact of Rehabilitation on Outcomes in Patients With Ischemic Stroke A Nationwide Retrospective Cohort Study in Japan より引用

非早期リハビリテーション群と比較して、早期リハビリテーション群ではADLが有意に改善した(オッズ比:1.08;95%CI:1.04-1.13)

最も集中的なリハビリテーション群(≦1.0 U/d)については、ADL改善のオッズ比(95%CI)は、2.1~3.0、3.1~4.0、4.1~5.0、および5.1 単位/日以上の群でそれぞれ1.15(1.07~1.23)、1.36(1.26~1.47)、1.53(1.41~1.67)、および1.87(1.69~1.2.07)であった

年齢、女性性、入院前のmRSスコアの高値、非SCU入院、JCSスコアの高値、ベースラインBIの低値、グリセオール使用、肺炎や尿路感染症の合併症はADLの改善が少ないことと有意に関連していた

結果まとめ

  • 対象者は100,791名【早期(n=74229)と非早期(n=26562)】
  • 群間比較としては、早期リハ群は若い男性であること、JCSスコアが低いこと、SCUへの入院可能性が高かったこと、合併症の可能性が低かったことなどがあげられた
  • ADLが改善は集中的リハおよび早期リハを行なった双方の群で高かった
  • 早期リハは非早期リハに比べてADLの改善があった
  • 集中的リハは1単位/日に比べ、2単位/日以上で効果が上昇し、5単位/日以上でより高い効果が得られた

考察【discussion】

本研究では、日本の全国入院患者データベースを用いて、虚血性脳卒中患者における早期リハビリテーションがADLに及ぼす影響を、リハビリテーションの強度と関連して検討した

その結果、早期リハビリテーションと集中的リハビリテーションの両方が独立してADLの改善と関連していることが示された

しかし、本研究では、リハビリテーションプログラムが統一されていなかった

一般的に、急性期脳卒中入院患者のリハビリテーションプログラムは、臨床的要因を評価して集学的に構築されている

本研究にはいくつかの限界があった

第一に、本研究ではDiagnosis Procedure Combinationデータベースには、急性期の脳卒中の重症度(例えば、National Institutes of Health Stroke Scale)、気分や認知機能、脳卒中の病因、閉塞血管に関する情報は含まれていなかった

第二に、Diagnosis Procedure Combinationデータベースには入院中の情報しか含まれていないため、長期ADLや死亡率など、退院前と退院後のアウトカムを分析することができなかった

第三に、合併症の発症時期は確認できなかった。早期に合併症を発症した患者はリハビリテーションを受ける可能性が低かった可能性があった

結論【conclusion】

全国の入院患者データベースを用いた本研究では、早期および集中的なリハビリテーションがADL状態の改善と関連していることが示された

ヒポ太郎的まとめ

いかがだったでしょうか?

10万人を超えるビックデータで算出された早期リハ、集中的リハの効果というところでしたが

結局、状態がある程度よい患者さんには発症から3日以内で5単位以上のリハを行なっていくことがよいとされる結論でよさそうな感じです

どう解釈していくか?というのをヒポ太郎的に述べさせていただくと

注意する点として

  • 『虚血性脳卒中』であること
  • 比較的若い男性(データから想像するに60代程度の男性が多かったのかな?)ということ
  • 合併症は限定されていたということ、単位数でリハの量を判断していること

が挙げられます

リハビリテーションの内容については、個別性が高い部分もあることと、介入研究ではないため、詳細な部分はこの論文からは不明です

臨床で応用していくには、介入研究としての良質な研究論文を参考にしていく必要がありますね

最後までご覧いただきましてありがとうございました!今回の論文では、発症後3日以内のリハビリテーションと単位提供量が多いということがADLに良い影響を与えることがわかりました。しかし、実際のリハビリの内容については言及していないので、さらなる吟味が必要ですね!!

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