英語論文:脳卒中上肢機能改善におけるボバース療法とCI療法の比較【ランダム化比較試験】

エビデンスの知識

こんにちは〜ヒポ太郎です

今回は脳卒中上肢機能改善におけるボバース療法とCI療法の比較【ランダム化比較試験】というテーマを解説していこうと思います

脳卒中の片麻痺の人のリハビリって本当に難しい。CI療法とかホバース療法とかよく聞くけどどういいのかな?

そんな疑問を抱えているかへ、本日紹介する論文はこちら

Bobath Concept versus constraint-induced movement therapy to improve arm functional recovery in stroke patients: a randomized controlled trial 

簡単に要約すると『CI療法VSボバース療法』ってなところですかね

かなり挑戦的なタイトル名な気がします(笑)

結論:上肢機能をあげるのであれば、どちらも改善する。そしてボバース療法の方が短時間で改善する。しかし生活で麻痺手を使ってほしいならCI療法

この記事(論文)を読むことで

  1. CI療法、ボバース療法各々がどのようなアウトカム(結果)に影響を与えるかがわかる
  2. 上肢機能を改善させることと、対象者が麻痺手を使ってくれることは別であるということ
  3. ざっくり各々の療法がどういった対象者に適応となる療法なのか?

以上のことがわかります

記事の最後に論文ダウンロードのリンクを貼っておきますので、

記事の内容をみて、興味を持ったら、原著を読んでみてください!

本記記事を読むにあたってのお願い:要約はできるだけ正しく行うよう心がけておりますが、専門の翻訳家ではありません。少しでも読んだ方の臨床のお手伝いができることを目的としています。論文が気になった方は、必ず原著をお読みいただくことをオススメしております

ではみていきましょう

タイトル【title】Bobath Concept versus constraint-induced movement therapy to improve arm functional recovery in stroke patients: a randomized controlled trial 

日本語に訳すと、脳卒中患者の上肢機能改善するためのボバース療法 VS CI療法の比較【ランダム化比較試験】

というような感じですかね

タイトルにバチバチ火花散ってる感がありますね(笑)

ちなみに私個人としては、1つの療法を信じているなんてことはありません

どんなものにも適応と限界がありますので、対象者にあった方法を評価し実践していくというスタイルですので

どちらの療法を支援するとか、否定するというような趣旨ではなく、あくまで論文紹介であることを念頭においておいて頂けると幸いでございます

概要【abstract】

患側の機能が高い(=軽度片麻痺)脳卒中患者における上肢機能回復に対するボバース療法とCI療法の効果を比較することを目的とした

  • 研究デザイン:単盲検化ランダム化比較試験
  • 設定:脳卒中ユニットの外来理学療法で実施
  • 被験者:合計24名の患者をCI療法群またはボバース療法群に無作為に割り付けた
  • 介入:ボバース療法群は1時間、CI療法群は平日10日間連続で1日3時間のトレーニングを受けた
  • 評価項目:主な評価項目は、MAL(上肢の使用頻度や使用量の評価尺度)、WMFT(上肢機能の動作能力尺度)、MESUPES(脳卒中後の上肢動作の質の評価尺度)、FIM(日常生活の自立度)
  • 結果治療後に有意な改善が認められたのは、CI療法群のMALの「使用量(AOU)」と「運動の質(QOM)」のサブスケールのみであり、ボバース療法群と比較して有意な改善が認められた(それぞれP=0.003、P=0.01)WMFTのability’ (P=0.137)と’Performance time’ (P=0.922)、MESUPES(P=0.947)とFIM (P=0.259)のスコアには、両介入群間で有意差はなかった

結論:CI療法とボバース療法は、軽度片麻痺脳卒中患者において、麻痺手の機能的能力、速度、運動の質を改善する上で同様の効果を示した。また、CI療法は、麻痺手の使用量と動作の質の改善において、ボバース療法よりもわずかに効率的であると示唆された

以上が概要となります

気になった方は以下が本文の要約となりますので、ご覧ください!!

序論【introduction】

脳卒中後、約70~80%の患者が様々な程度の上肢の運動機能障害に悩まされている

脳卒中後の軽度上肢機能障害であっても、日常生活の機能が著しく制限され、生活の質に悪影響を及ぼすことが実証されている

ボバース療法

ボバース療法は現在のところ、選択的な運動の制御と、協調運動を生み出すための姿勢制御とタスクパフォーマンスの統合に特に重点を置いた問題解決アプローチと定義されている。明確にどのような治療がボバース療法とされるかがなく、実践的に違った方法がされている場合もある。

CI療法constraint-induced movement therapy

CI療法は、障害を負った腕を1日に数時間、反復的にタスク指向で訓練するものである。CI療法の有効性はいくつかの研究で示されていますが、その適用の難しさ、コスト、治療期間の長期化などの理由で批判されている部分もあります

結局「どの程度の強度で、どの治療がどの患者にとってより有益なのか」ということが求められている

現在のところ、ボバース療法がCI療法よりも効果が高いか低いかを確認するためのエビデンスはまだない

そこで、本研究では、患側機能が高い(=軽度)脳卒中患者を対象に、ボバース療法とCI療法が上肢機能回復に及ぼす効果を比較することを目的とした

方法【method】

対象者の基準

この単盲検無作為化臨床試験は、麻痺手機能レベルが高い軽度脳卒中患者を対象とした

上肢機能機能レベルは遠位関節の自動運動能力に応じて決定され、手首伸展が20度以上、中手指節関節と指節間関節の伸展が10度以上が条件であった

対象者は、上記の運動麻痺の基準の他に以下の包含基準に基づいて24人の患者を対象とした

  1. 初発の脳卒中の既往歴(脳卒中後3~24ヵ月)
  2. 18~80歳の患者
  3. 肩の屈曲、外転、肩甲骨の可動域が少なくとも45度、肘の伸展が20度、手首の伸展が20度、中手指節関節および全趾間関節の可動域が10度以上あること
  4. 必要に応じて腕のサポートを受けながら2分間立ったままのバランスを維持できること
  5. 検査及び治療セッションを理解するのに十分な視力及び聴力
  6. 十分なコミュニケーション能力
  7. 重篤な認知障害がないこと(Mini Mental State Exam のスコア≧24)
  8. 治療に参加する能力を妨げるような過度の疼痛がないこと
  9. 影響を受けた腕のどの関節にも過度の痙縮がないこと(どの関節においても Modified Ashworth Scale のスコア≦2)
  10. 麻痺側上肢のかなりの非使用(MAL28 の使用量(AOU)及び運動の質(QOM)のスコア<2

上記の基準を満たした被験者は、無作為にCI療法群とボバース療法介入群のいずれかに群間的に割り付けられた

CI療法介入

  • 健側上肢は12日間連続して起床時間の合計90%の間、安全ミットの中に入れられた
  • 治療の場から日常生活への移行を目的とした行動技法【Transfar package】(行動契約、介護者契約、家庭での実践、家庭での日記、家庭でのスキル割り当て)が実施された
  • shaping課題とTask Practice課題は、個別治療の中で提供された
  • 活動は、最も著しい低下を示す特定の動作と、理学療法士が改善の可能性が最も高いと考えた動作を考慮して選択された

実施時間は1日3時間の治療セッションを実施し、治療期間は平日10日間連続で行われた

ボバース療法介入

  • 治療セッションの前に、適切な患者中心の目標設定がされた
  • 理学療法士は、リハビリテーション目標に関連した運動とタスクのパフォーマンスを分析し、活動制限と運動機能障害の問題点を特定した
  • 治療は、各患者さんの特定された制限に応じて計画された
  • 重視したのは、筋緊張のコントロール、運動の質、体外支持、体重支持、腕の機能的状況における体幹の安定性であった
  • ボバース療法の考え方に応じて、各患者は通常の刺激、腕の正しい位置についての訓練を受け、24時間治療を継続するための自宅でのエクササイズを行ってもらった
  • 介護者も自宅での運動プログラムの訓練を受けました

クリニックでの治療は毎日1時間、介入は平日10日間連続して行われた

結果【Results】

2つの研究グループの患者の特徴の両群間には、人口統計学的および臨床的評価に関して統計学的に有意な差はなかった。また、病変部位(半球性病変と脳幹性病変のいずれか)についても、両群間に差はなかった

Bobath Concept versus constraint-induced movement therapy to improve arm functional recovery in stroke patients: a randomized controlled trialより引用

CI療法群とボバース療法群の両方で、ベースラインから治療後の評価までのすべての測定値(MAL-28、WMFT、MESUPES、FIM)において、統計学的に有意な改善が認められた(table2)

Bobath Concept versus constraint-induced movement therapy to improve arm functional recovery in stroke patients: a randomized controlled trialより引用

治療後の評価では、CI療法群では、使用量と運動の質のスコアが有意に高かった(それぞれP = 0.003、P = 0.01)。その他の評価については、治療間で統計学的な有意な差は確認されなかった

CI療法群では、ボバース療法群と比較して、MALにおける上肢動作の質(QOM)と量(AOU)のみが有意な改善を示した

考察【Discussion】

本研究では、ボバース療法とCI療法のアプローチは、脳卒中患者のうち、軽度の片麻痺患者において、日常生活動作における機能能力、動作時間、動作の質、および持続可能性のレベルが同程度であることが明らかになった

しかし、2つの治療群は、主観的な基準(すなわち、MALの使用量と運動の質)に関しては異なっていた

MALの変化についての考察

本研究では、MALの結果は、脳卒中患者におけるCI療法の効果を異なる対照群と比較した多くの文献の研究と一致していた 

CI療法の最初の無作為化多施設共同試験であるEXCITE試験では、3~9ヵ月前に初めて脳卒中を経験した脳卒中患者において、CI療法の投与により、通常のケアや慣習的なケアと比較して、麻痺手の使用量と質が統計学的に関連した改善をもたらしたと結論づけています

Taubらはプラセボ対照試験において、慢性脳卒中患者は一般的なフィットネスコントロール群と比較してCI療法群で非常に大きな改善を示したことを示した

ここで注意すべき点は、MALはもともとCI療法を受けている患者の改善度を評価するために開発されたものであり、この治療法に有利なMALの結果を部分的に説明している可能性があるということ

また、CI療法の介入の間、起床時間の90%の間、損傷を受けていない手を保護用の安全ミットに入れておくと、患者は損傷を受けた腕を「より多く」使ったと認識するようになり、これは、特にMALのAOUの結果にプラスの影響を与える可能性があります

したがって、治療後の日中に安全ミットを外した場合にこの効果が持続するかどうかを結論づけるためには、長期的な結果が重要である

MALの長期的な結果については、文献上では相反する結果があるため、CI療法介入に患者を入院させる前に、リハビリテーションの主な目標を慎重に決定する必要があるかもしれない

WMFTについての考察

WMFTでは我々の知見と同様に、対照群を用いてCI療法の効果を比較したいくつかの研究では、治療後の運動機能障害に統計学的に有意な差は認められなかった

一方、他のいくつかの研究では、通常の治療や一般的なケアの対照群を用いた研究では、CI療法群でWMFTにおいて有意な改善が認められたという報告もある

治療後の運動機能障害の結果の違いは、対照群とCI療法群との治療量や治療内容の違いによって説明できるかもしれない

MESUPESとFIMについての考察

CI療法群では、治療後の運動の質(MAL-28 QOM)はボバース療法群よりも優れていたが、脳卒中患者の腕の運動評価尺度(MESUPES)では、両介入群間で統計的に有意な差は認められなかった

MALとは違う上肢の運動評価であるため、MALとMESUPESとで違う評価が出ることを予測していた

脳卒中患者の上肢運動評価尺度の結果では、上肢機能レベルが高い脳卒中患者ではQOMにポジティブな影響を与える可能性があることを示しているのかもしれない

FIMでは2群間の差は統計的に有意ではなかった

この知見は、脳卒中患者の腕のリハビリテーション後に機能的自立度測定やその他の関連尺度を用いて日常生活レベルの活動性を測定した多くの研究と一致していた

本研究での注意点と限界

本研究の注目すべき点と限界について

第一に、この試験は博士論文であったため、1つのセンターで実施され、1人の理学療法士が両方の治療を行った。1つのセンターでは、この試験のすべての包含基準を満たした患者を見つけるのが困難であったため、サンプルサイズが比較的小さかった

1人の理学療法士がどちらか一方の治療を好む傾向に偏っている可能性があり、これが結果に影響を与えた可能性がある

1人の理学療法士であれば、両群の対人関係はほぼ同じであるため、本試験の利点であると考えられる

第二に、脳卒中発症からの期間(3-24ヵ月)が長すぎたことと、患者の事前層別化のためにボツリヌス毒素A治療以外の要因は考慮されていないことである

脳卒中後の期間が長いことを包括基準とするならば、以前のリハビリテーション期間、薬物治療、うつ病の状態、生活環境や介護者などの環境の変化はすべて回復に影響を与える重要な因子であり、多施設共同試験では考慮されるべきである

しかし、本研究の患者はすべて以前に理学療法を受けており、家族や介護者と一緒に自宅で生活していた

第三に、ほとんどの患者が自宅での日記を正確に記入していなかったため、起床時間の90%の活動を記録することと、障害のない側でミットを使用することの要件を満たしているかどうかを評価することはできなかった

結論【conclusion】

  • CI療法とボバース療法は、機能的能力、動作速度、動作の質などの客観的な基準に従って、脳卒中軽度片麻痺患者の上肢リハビリテーションにおいて、同様の効果を有している
  • CI療法は、患者の主観的評価に関して、麻痺手の使用量(AOU)と質(QOM)を改善する点でボバース療法よりも効果的であった

ヒポ太郎的まとめ

いかがだったでしょうか?結局のところ、本研究ではボバース療法とCI療法を比較した時には

結論:CI療法とボバース療法は、軽度片麻痺脳卒中患者において、麻痺手の機能的能力、速度、運動の質を改善する上で同様の効果を示した。また、CI療法は、麻痺手の使用量と動作の質の改善において、ボバース療法よりもわずかに効率的であると示唆された

すなはち、麻痺手の使用量と動作の質についての差があったということでした

本研究を解釈する上で必要な事は

  • CI療法では3倍のリハビリテーション時間を要したこと
  • CI療法がアウトカムに与える影響は『対象者の行動を変える』ということ
  • けしてボバース療法での介入が悪いということではないこと

ではないかな?と思います

病院や施設によって、治療コンセプトがあったり、強みの療法みたいなものがあるかもしれませんが、各療法がアウトカムに与える影響を研究から推測し、対象者にあったオーダーメイドの療法を選択する必要があるかと思います

機能が変化することで、自動的に行動変容し、麻痺手の使用量が向上するような対象者に対してはCI療法よりもボバース療法が適している可能性もあるということです

あくまで、本研究だけでいえることではあるので、他の様々な研究論文を参考にしていただけたらと思います

最後までご覧いただきましてありがとうございました!〇〇療法というのに対して、過敏に反応せず、各療法がどのようなアウトカム(結果)に影響を与えるものかを慎重に吟味して、臨床に落とし込んでいけたらいいですね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました