こんにちはヒポ太郎です。
本記事ではリハビリテーションのみならず、一般の方でも聞き覚えのあるCRPについて解説していきます。
炎症マーカーとして用いられることの多いCRPですが、実際CRPというものがなんなのか?どういったメカニズムで増減するのか?をみていこうと思います。
リハビリテーションの運動負荷量などにも影響するため知っておいた方が良い検査値の1つと言えると思います。
*リハ専門職、リハ学生へ:本サイトでは参考論文や参考図書についてはすべてリンクを提示しています。インターネット情報引用というのは事例報告や論文にはなかなか使えないので、貼り付けるリンク先から書物、論文を入手して原著を読んでいただければ、お役に立つと思います

C反応性タンパク(CRP)
C反応性タンパク(CRP)基準値:0.14mg/dL以下
パニック値(リハ禁忌):30.0mg/dL以上
CRPとは?
CRPは健常な人の血液中にはほとんど存在しないタンパク質です。
体内に炎症(感染症や腸炎、胃炎など)が起きたり、組織の一部が壊されたり(大きな怪我や、手術による侵襲など)した場合、サイトカインが分泌されます。サイトカインは肝細胞を刺激して、CRPを合成します。
病気や怪我、手術などにより体の組織が壊される=CRPが上昇する
CRPとはC反応性タンパクの略称で、肺炎球菌という最近がもつ、C多糖体に結合する性質に由来します。
CRPは悪者?
CRPが上がると炎症してるから、CRPって悪い検査値・・・みたいな印象を持っている方がいるかもしれません。
CRPには役割があって、CRPは細菌に結合し、細菌を捕食してくれるマクロファージを呼び寄せるという役割を持っています。
つまりは、体内の病的産物を除去する作用があるということです。
CRPだけではわからない『問題の場所』
CRPが高くなった場合には、必ずといっていいほど熱が出たり、体に不快感を感じていると思います。
その訴えから、何が問題であるのかわかる場合もありますが、内部の臓器の問題であったりすると、何が原因で炎症を生じているか判断できません。
その場合には他の検査値「AST」「ALT」「γ–GDP」などを参考にし、肝臓やその他臓器の異常ではないかを確かめていく必要があります。
リハビリテーションに役立てるには?
CRPのピーク時期を知っておこう
CRPは炎症マーカーの代表として知られていますが、CRPが高い=感染、低い=非感染というわけではないことに注意をしてください。
検査値はあくまでアセスメントの1つであり、検査値だけで判断してはいけません。
CRPは炎症や組織崩壊後3〜6時間以内に増加し始め、2〜3日目がピークになります。
他の炎症マーカーを同時に見ることで炎症の程度や、増悪中・寛解中などの判断を行いましょう。(他の炎症マーカー:白血球〈WBC〉、〈IL–6サイトカイン〉など)
白血球はCRP値がピークに達するより前にMAXまで上昇し、CRPピークになるときには徐々に減少を始めていきます。
対象者の訴えを聞き逃さないようにしよう
CRP上昇時には体の不調がついてきます。発熱、感染の有無、息切れ、胸水の有無、食事摂取量、水分摂取量、排泄状況、疼痛など様々な訴えや外観上の症状に注意して、いち早く察知できるようにしておきましょう。
リハビリに活かしていくには
リハビリテーションの中止や実施の指示に関しては主治医と必ず相談して行ってください。
しかし、医師も明確に「この練習はOK」「この練習はダメ」と具体的指示をいただけることは少ないため、以下のことを参考に介入すると良いと思われます。
CRP10以上の場合
侵襲の程度が強いと考えられるため、機能維持を目標としたリハビリテーションを中心に実施。積極的なレジスタンストレーニングなどは避けましょう。積極的なリハビリは筋肉量の減少を助長させてしまう可能性があります。
ベッドサイドで座位保持し、机上で課題を行ったり、関節可動域訓練が必要な方であれば可動域拡大のリハだけを行ったりします。
日常生活動作も患者の状態に合わせ、必要であれば過介助で実施しても良いと思います。
CRP5以上10未満
患者の状態を確認しながらリハビリメニューを変更しましょう。明らかな改善傾向が認められる、もしくは侵襲が落ち着いてきているがCRPが半減期(19時間)の関係でまだ高いという場合は機能維持を図るリハを実施しましょう。
半減期を超えて改善傾向であれば、徐々に運動負荷量を増加させていき、起立やわずかな歩行を行なっていっても良いでしょう。
日常生活動作に関しても、可能な範囲で本人に動作を促していきます。
CRP3以上5未満
機能改善を目標としたリハビリ(レジスタンストレーニングや有酸素運動など)を検討していきます。しかし、CRPが3〜5で持続している場合には、変化に注意しながら実施していきます。
微妙な炎症が続く場合があるので、本人の体調や訴えをモニタリングしながら実施していく必要があります。
リハビリ実施でCRPが上昇するようなことがあればプログラムの変更を行います。
日常生活場面では、本人に可能なADL動作は行なってもらってよいと思います。歩行可能であれば、歩行でトイレにいったり、改善傾向であれば主治医に確認し入浴を開始したりします。
*CRPが低下せず時間経過している時:炎症が生じた原因にもよりますが、消化管出血や腸炎などでCRP高値となった場合には、その後下血などがないか、嘔吐などがあり、暗褐色なものが混じっていないか?など患者さんに確認しましょう。
CRP3未満
機能改善目的のリハの負荷設定で、リハの負荷量を強めていきましょう。
日常生活的にも制限なく、積極的にADL動作を促していってください。
おわりに
今回はCRPについて焦点をあてて記事を書いていきました。
炎症マーカーとして多くの人が知っている検査値ですが、具体的に高かったらどうしたらいいのか?っていうことがわからないこともあると思います。
リハの臨床現場では、主治医の指示とCRP以外のその他検査値、本人の訴え・症状を正確に把握しながら、その時に最善のリハビリを提供できるようにしましょう。
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