こんにちはヒポ太郎です!
本記事のテーマは「脳溝を見分ける」です
私は回復期リハビリテーション病棟で作業療法士をしており、脳血管疾患の対象者の方と多く関わることがあります
脳画像を見ることは、リハビリテーションを展開する上での重要な評価の1つとなります
脳溝を見分けることができることで何が良いかというと
脳溝がわかることで、脳葉(前頭葉、側頭葉など)を分けて同定できます。病巣が大まかにどの脳葉にあるかを把握し、生じる症状を予測して効率的な評価を実施できる可能性が高まる
からです
この記事を読む前に根本的に脳画像をみる意味と「CT」「MRI」の特徴について書いた記事がありますので、そちらも参考にしてください
本記事では「脳溝」を見分けるポイントについて詳しく述べていきます
結論から述べると
抑えるべき主な脳溝のポイントは「3つ」
です
本記事で挙げる3つのポイントを抑えることができれば、超基本的な脳の構造を捉えることができます
では詳しく解説していきましょう
脳葉を区分する5つの『脳溝』
大脳皮質は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、島葉、辺縁葉(帯状回・海馬傍回)の6つの脳葉に区分される。脳葉を区分する上で重要な指標となる脳溝は
- 中心溝:前頭葉と頭頂葉を分ける
- 外側溝:前頭葉・頭頂葉と側頭葉を分ける
- 頭頂後頭溝:頭頂葉と後頭葉を分ける
- 帯状溝・頭頂下溝:前頭葉・頭頂葉と帯状回を分ける
- 側副溝:海馬傍回と側頭葉を分ける
の5つです
この5つのうち「中心溝」「外側溝」「頭頂後頭溝」の3つは必ず同定できたほうがよい脳溝ですので、見方を詳しくみていきましょう
もっともポピュラーな脳溝『中心溝』
中心溝は一次運動野が存在する中心前回と一次感覚野の存在する中心後回を隔てる重要な脳溝です
「precentral knob」逆Ω型を指標にする
一次運動野のうち、手指の機能分布している部分は後方に突出しています。その部分を「precentral knob」と呼びます。
precentral knobはΩを逆にした形に似ていることから、「逆Ω」とも呼ばれています。個体差があるため、確実に逆Ωの形をしているわけではないですが・・

黄色い線で示した部分が「中心溝」です。この黄色い線より前が前頭葉、後ろが頭頂葉です
このレベルでは後頭葉はまだ見えません
中心溝を同定することで、一次運動野、一次感覚野の位置をある程度把握でき、運動麻痺や感覚障害が生じるかどうかを把握しやすくなります
同定しやすい『外側溝』

外側溝は前頭葉・頭頂葉と側頭葉を隔てる溝であり、脳領域を同定するのに重要な脳溝です
①島という部位をみつけます。脳の外周でない部分にある、波打った場所が『島』(右図の赤ライン)です
②そこに当たるように脳の外周から繋がって線が伸びている(右図の黄色ライン)が外側溝(後枝)です
言語領域(ウェルニッケ野)や失行の病巣(行為の概念がある場所)である角回や縁上回などを同定するのに役立ちます
詳しくみると、島の前側からでる溝(外側溝前上行枝)という溝もあり、それが同定できるとブローカ野の同定に役に立ちます
前頭葉、側頭葉、後頭葉が全て揃う『頭頂後頭溝』

頭頂後頭溝を同定するには、側脳室体部【側脳室がハの字】の部分で同定します
側脳室体部のカットで、大脳内側面後部に深い脳溝があります
それが頭頂後頭溝です
頭頂葉と後頭葉を隔てる溝であり、このカットあたりからようやっと後頭葉がみえてくるということです
脳画像が見れないうちはかなり上のカットから、後頭葉が写っていると勘違いしていることがあります・・・・・これあるあるです(笑)
終わりに
本記事では「脳溝を見分ける」をテーマに解説していきました
脳溝を見分ける理由は、
各脳葉に分けてみることができ、病巣から生じるであろう症状を想定して、評価やアプローチを効率的に行うことができる
ということでした
見分ける脳溝のポイントは3つ
- もっともポピュラーな『中心溝』:逆Ωを目印に
- 同定しやすい『側頭溝』:島を基準に
- 前頭葉、側頭葉、後頭葉全て揃う『頭頂後頭溝』:側脳室体部を目安に
でした
これらを参考に脳画像をみて頂けたらよいかと思います
【第3弾】脳画像の見方 視床編はこちら↓↓

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