リハビリテーションにおける評価の選択基準

リハビリテーションにおける評価の選択基準

おはようございます、こんにちは、こんばんは、ヒポ太郎です

今回は、リハビリテーション医療職であれば、養成学校でも臨床現場でも必ず行うであろう

評価

について記事を書いていこうと思います

ヒポちゃん、評価はちゃんとしてる?

はい!ちゃんと評価してますよ!

じゃあその評価の信頼性ってわかるかな?

えっと。。。信頼性??って・・・
ちゃんとしてるか?ってことですか?

意外と『評価』をとってる人は多いものの、『評価の信頼性』『評価の妥当性』ということまで注意している人って少ないんですよね

実は評価にも質というものがあり、

評価が対象者の方に適切な評価なのか?

適切に評価できる評価法なのか?

ということも注意しておくが必要となります

本記事では

  • 評価を使用する目的を明確に
  • 評価における信頼性や妥当性について

という内容を解説していこうと思います

結論:対象者にあった信頼性のある評価を選択し、その効果判定をしっかり行うことが大事

では見ていきましょう

リハビリテーション評価法選定時に考えること

評価を使用する目的を明確に

まず評価法を選ぶ前に、評価を用いる目的を明確にしなければなりません

リハビリテーション医療の現場で評価法を使用する目的は

①診断

②帰結(予後)予測

③効果判定

④治療法の開発

⑤リハビリテーション医療の国際比較

⑥データベースの構築

総合リハビリテーション 第48巻2号 2020年 2月号 『評価法の選択』より

大きく分けてこの6つの目的に分けられます

私たち理学療法士や作業療法士が臨床現場で評価を用いる時には

①②③の目的で評価を行うことが多いかと思います

研究となったり、エビデンスの蓄積になると④〜⑥の目的が強くなるでしょう

今回は①〜③の目的で使用する評価の考え方を詳しくみていきましょう

リハビリテーション評価 診断

病名を診断することや、症状を診断することは主治医の行うことなのでできません

リハビリテーションスタッフが行う部分の『診断』=『対象者の状態把握

と言い換えた方が適切でしょう

例えば、主治医はレントゲンやCTを用いて『大腿骨頸部骨折』の病名診断を行い、リハビリはROMという評価を用いて『関節がどの程度動くのか?』という状態把握(状態の診断)ができる

対象者の状態を効率的に把握するには、検査(評価)が必要です

それは医者であっても、セラピストであっても変わらないことです

セラピストは対象者の状態を判断するのに、最も適した評価を選定し、効率よく評価できることが求められます

対象者にとって必要のない評価をしてしまうことは、『発熱と鼻水、喉が痛いんです』といって病院に行ってるのに、医者が『それじゃあ、足のレントゲンを撮ってみましょう』と言ってることと同じことですよ

対象者にとって無駄な評価とならないように、目的を持って評価(診断)しましょう

リハビリテーション評価 帰結(予後)予測

帰結(予後)予測はとても難しい問題ですが、様々な研究などで

ある一定の時点における評価結果によって、予後がどのようになるかを予測できる

というものも数多く存在しています

例えば、Is the proportional recovery rule applicable to the lower limb after a first-ever ischemic stroke?という論文では、発症後72時間と6ヶ月後の脳卒中患者に対して、FMA(脳卒中機能評価の1つ)を評価し、72時間時点での点数から6ヶ月経過時点でどの程度改善してるか?という予後予測を可能とする報告がある

この論文は比例回復則(プロポーショナル・リカバリー・ルール)と呼ばれる法則があり、自然回復でどの程度よくなるのか?を研究したものです

他にも、有名ではありますが兵庫医科大学の道免先生などの研修会などでは、FIMやSIASを用いた予後予測などもされています

どのような評価を使えば、予後予測をできるのか?という視点も持っておく必要がありそうですね

リハビリテーション評価 効果判定

効果判定で評価をつかうということはイメージしやすいですね

最初の評価からある一定期間アプローチを続け、最初からどれだけ変化をしたか推移を追う

ということです

例えば、入院1週間目の時点でBBS(バランスの評価)が20(56点満点)点で、1ヶ月間、歩行練習、筋力練習、バランス練習を行った結果を再度BBSで評価して50点になっていれば、バランスが改善したと判断できる

この例の場合であると、リハビリのアプローチの効果判定が、BBS(バランス評価)によって、効果があったと判定できるということです

ただ、この後で出てきますが、効果判定においては

本当に意味のある改善だったか?

ということも考えることが必要です

〇〇さんのMMSEが先月より2点上がりました!

おぁ、それはよかったね。でも、その変化で、なんの意味があったの?

えっ?なんの意味って・・?ただ点が良くなったんですけど。

点が上がったことはいいことだけど、その人の生活や行動、活動に何か意味のある変化は起きたかな?

こんなことってありますよね?

評価を使う上で、どれくらい改善していたら効果があった、意味があったとするのかは知っておく必要があります

このことを

最小重要変化(MIC:minimal important change)

臨床的に有意な最少変化値(MCID:minimal clinically important difference)

など呼ばれます

これらの変化量がちゃんと示されている評価法であれば、どの程度改善したら意味のある変化であったかを示すことができます

効果判定で評価法を用いる場合には、MIC、MCIDを意識して使用できるとよいですね

リハビリテーション評価法の4つの要素

1.信頼性

信頼性とは『測定値に測定誤差を含まず、真の値を測定する程度』で、一言でいえば『評価の安定性』を示す

総合リハビリテーション 第48巻2号 2020年 2月号 『評価法の選択』より

どういうことかというと

  • 誰がやっても、同じような測定結果になるか?
  • 何回やっても同じような測定結果になるか?
  • 評価の中身の項目がちゃんと整合性のあるものか?

以上の項目が、ちゃんとしてるか?ってことです

〇〇さんのMMSE 27点だったね

えっ?私昨日やりましたけど、10点でしたよ??

なんてことが起きるようであると、検査間信頼性が低い(違う人がやったら違う結果になる)ってことになります

MMSEでこのようなことが起きることはないのですが、あくまで例で挙げています

2.妥当性

妥当性とは『尺度が目的とした構成概念を測定している程度』で、一言でいえば『本当に測りたいものを測っているか?』を示す

総合リハビリテーション 第48巻2号 2020年 2月号 『評価法の選択』より

内容妥当性:測定しているものが真に測定したい内容を反映しているか

基準連関妥当性:既に確立された評価法(gold standard)と関連させて、新たな評価法が妥当であるか

構成概念妥当性:確立された評価法がない場合に構成概念の構造を尺度の領域点数が示しているか

妥当性はこの3つに分類されます

いや、急に難しいわ!

ってなると思うのですが

脳卒中の人には脳卒中に対応する評価を、認知症の人には認知症に対応する評価を選びましょう

ってことです

基準連関妥当性っていうのは

例えば、脳卒中上肢機能評価で使われるFMA /UE(ヒューゲルマイヤーアセスメント/上肢)は確立された評価法(gold standard)です。その評価とBBT(ボックス&ブロックテスト)という簡易的な評価の点数は関連した正の相関があります。したがって、BBTの評価は基準連関妥当性があるといわれています

こんな感じですね

歩行速度(10mWTや6MWT)やバランス評価(BBS)だったり、TUGだったりする評価も同様に、他の評価との関連が多く認められている優秀な評価といえます

3.反応性

反応性とは『測定される構成概念における、時間経過による変化を検出する能力』である。妥当性と似ているが、妥当性がある一時点における妥当性を示すに対し、反応性は変化量の妥当性のことを示している

総合リハビリテーション 第48巻2号 2020年 2月号 『評価法の選択』より

ここでは感度、特異度という言葉を覚えてほしいですね

感度:疾患がある人のうちで検査が陽性になる確立

特異度:疾患がない人のうちで検査が陰性になる確立

同じこといっているようにしか聞こえません・・・・

そうだね。同じように聞こえるけど、実は全く違うことなんだよ。感度が高くなりすぎると『偽陽性』という、本当は陰性なのに陽性扱いされるパターンが出てきてしまうんだ。

感度も特異度も高い評価であることはいいことではありますが、

感度が高すぎると『偽陽性』という方が出てきてしまうのです

例えば、認知症判断の評価を開発して、問題の難易度がめちゃめちゃ高い評価を作ったとしましょう。感度がとても高く、認知症の人ほぼ100%を検出できる・・・・としても、認知症じゃない人もその難しい問題を解けずに、『認知症』と診断されてしまう恐れがあるのです

4.解釈可能性

解釈可能性とは『量的な尺度得点もしくは変化得点を質的な意味(臨床的もしくは一般的に理解できる意味)に割り当てることができる程度』を指す。簡単に言い換えれば『尺度得点が、臨床上の解釈に使えるものかどうか?』ということである

総合リハビリテーション 第48巻2号 2020年 2月号 『評価法の選択』より

これは先に述べた、最少重要変化(MIC)や臨床上の有意な最少変化量(MCID)の部分で少し触れました

ぜひ覚えておいてもらいたい項目の1つです

臨床で評価を行い、その効果判定を行う場合

もしくは研究などを行い、それを世に出して発表する場合

客観的な評価尺度がどの程度良くなっていたから、意味のある変化であった

ということが述べられれば、本当に意味のあったアプローチといえるからです

このMICやMCIDは評価法よりもちろん異なるので、その評価法のMIC、MCIDを先行研究から調べてくることが大切となります

例えば、Estimating the minimal clinically important difference of an upper extremity recovery measure in subacute stroke patients.という論文では回復期レベル(subacute)の上肢機能の改善のMCIDをFMAという評価で研究しており、9〜10点変化すれば、臨床的に有意な変化といっていいだろうと述べています

歩行やバランス機能においても、数多くの先行研究があると思いますので、是非調べて、自分の行っているアプローチが意味のある変化量を超えているかどうかを評価していただけたらと思います

まとめ

明日から評価を適切に選ぶことができるかな?

難しそうだけど、対象者の方に必要と思う評価をして、どれだけ良くなったか、それが意味のある変化だったかを考えるってことが大事ってことですね?

その通りだね!概ねみんなが使ってる評価は信頼性が確かめられているものが多いから、対象者の疾患や病態に合わせた評価を選べればOK!あわせて意味のある変化を追っていこうね

  • 評価目的を明確にすること
  • 信頼性の高い評価を選択すること
  • 評価したいことが評価できる妥当性の高い評価を選択すること
  • 評価したら、どんな変化が意味のある変化かを確かめること

これらを注意して評価選択できれば、どんな評価を使っても大きく間違うことはないとおもわれます

疾患や病態によって選定は難しいと思いますが、先行研究、症例報告などを参考に、どんな人に対して、どんな評価が妥当かは臨床を行いながら養っていきましょう

最後まで読んで頂きありがとうございました