【エビデンス解説シリーズ①】リハビリテーションにおけるエビデンスとは?

【エビデンス解説シリーズ①】リハビリテーションにおけるエビデンスとは?

こんにちはヒポ太郎です

今回はシーリズ①としてリハビリテーションにおけるevidence based medicine(EBM)とはどのようなものなのか?そもそもエビデンスとはなにかを解説していこうと思います

PTでもOTでも、最近はEBMが大切って言われるけど、エビデンスってなんなの?

実はEBM自体は結構前から大切といわれてきてるんだよ。エビデンスっていうのは『根拠』とか『証拠』と言われんだけど、根拠あるリハビリが大切だよってことだね。

先輩たちからちゃんと教わっているし、研修にもいくし、その知識が根拠なんだけど、だめなの?

いや、決してダメなわけじゃないんだよ。でもね、その知識が正しい『根拠』があるものなのか?そして、目の前の対象者の方に適したリハビリなのか?を吟味する必要があるんだ。まずはエビデンスについて理解が必要だね

私は回復期リハビリテーション病院で作業療法士をしています。作業療法でエビデンスということを意識され始めたのはここ10年の間です

私が作業療法士になったのが2012年で、その年から全国学会など学術大会に参加してきました年々作業療法学会のなかで『作業療法もエビデンスを構築する必要がある』と言われるようになってきていました

少し余談になりましたが、リハビリテーション全体としてEBMを意識してリハビリテーションを行うことが必要になってきているのです

今回は『エビデンス』とは何であるのか?についてフォーカスを絞って解説していきたいと思います

ではよろしくお願いします!

エビデンスとは?

エビデンス(evidence)=『根拠』『証拠

根拠とは『もとになる理由』『よりどころ』と定義

EBM(evidence based medicine)=『根拠に基づいた医療

個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を、一貫性を持って、明示的な態度で、思慮深く用いること

良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる

などと定義

治療選択するときにエビデンス(根拠)を説明できるか?

ちょっとだけ『根拠』というのを考えるのに、簡単な質問をしたいのですが

例えば、あなたは今とても頭が痛いとします。下の2つの薬のうちどちらを選びますか?

おそらく多くの人が右側の『バファリンプレミアム』を選ぶんじゃないでしょうか?

では、なぜそっちを選んだんですか?

『そりゃワケわからん、知らない薬飲むより、みんなが飲んでて、頭痛に効くってわかってるバファリン飲む方がいいでしょう・・・』

って思いますよね?

バファリンを選んだ根拠って、【みんなが飲んでて、頭痛に聞くってわかってて・・】の部分ですよね?

ではリハビリの場面で考えてみましょう

リハビリを患者様に選択してもらう時、もしくは皆さんが治療選択をするときに、患者様に上記のバファリンのような

【多くの研究である症状に対して〇〇というアプローチを実施していて、□□に効果があると言われています】

という説明と治療法を提供できていますでしょうか?(ドキッとしますね汗)

例えば

脳卒中重度片麻痺に対して過去の研究を参考にすると、一般的には○○というアプローチ方法があり、□□の効果があると言われています。ですので、そのリハビリをしていこうと思います。いかがでしょうか?

小脳出血で失調症状がある歩行に対して、ある研究では〇〇というアプローチがあり、歩行の□□を良くするということが明らかになっています。ですので、その方法でリハビリをしていきたいのですが、いかがですか?

このような感じですね

市販の薬であれば、自分の症状に合った薬を選ぶことはできますが、病気でリハビリが必要な方の多くは、私たちセラピストを選ぶことはできませんし、治療法を選択することもできない状態となっています

もし、対象者の方に自分の経験や人から聞いた方法だけで、治療を行っているとしたら、【ワケのわからない薬】のほうに属してしまっているかもしれません

1人の治療者が『自分の経験からこの治療法がいいですよー』って言ってるものよりも、多くの人に行われた治療法を適切な方法で分析して、どんな人に、どんな治療法がいいか明らかになっているものの方がいいですよ

ってことですね

EBMが重視されるようになった歴史

過去EBMが推奨されていない時代の医療では、その領域の権威ある医者の意見や過去の経験則だけで治療選択をされていた時代がありました

簡単にその事例を紹介します

権威ある小児科医が『乳幼児をうつ伏せで寝かせると良い』という理論を提唱していました。実際にうつ伏せで寝かせることが何に良いのかも根拠のないまま、「あの先生が言うんだから間違いない」と、それを鵜呑みにした人たちは子供をうつ伏せで寝かせました。そして多くの子供が命を落としたのです。

今では常識の一つですが、乳幼児をうつ伏せで寝かせると『乳幼児突然死亡症候群』という窒息での死亡リスクにさらされるということがわかっています。

しかし、当時はその権威ある医者のいうことが正しいと、実証もされていない方法で命が多く失われたという過去があるのです

もう一つ紹介します

心筋梗塞後の不整脈が生じることによって、死亡リスクが高くなることがあります。そのため、心筋梗塞後に不整脈を起こさないように予防的に抗不整脈薬を投与することで、死亡リスクを下げれられるのではないか?と投与されていた時期がありました。生理学的機序については正しいように思えます。しかし、実際に研究で抗不整脈薬を投与した群とプラセボ群(ただの粉)を飲ませた結果では、抗不整脈薬を飲んだ群の方が死亡率が高かったのです

これも今では有名な話でして、【CAST試験】と調べるとその詳細を調べることができると思います

このような過去の事例を通し、理論よりも根拠・実証が必要であると変わっていったのですね・・・汗

エビデンスレベル

エビデンスが大事ってことはわかってきました。でも、どんな根拠だったらいいですか??私は説明の筋が通っていれば、何でも納得しちゃいそうで・・・

いい質問だね!実はエビデンスを使うのも、エビデンスには『低い』や『高い』というのがあるんだよ!また詳しく説明しようと思うけど、今回は簡単に説明するね

エビデンスが大切になった歴史は見ていただけましたか?

自分が過去起きた重大なイベントと同じような治療をしないためにも、エビデンスを使ってのリハビリが必要というのは感じていただけたと思います

じゃあ、過去に研究や論文が出てるものを参考に治療すれば全てが『EBM』となるのか?というとそうではありません

エビデンスにもレベルが存在します。下の図を見ていただきたいのですが、この図はエビデンスのヒエラルキー(階層)を示したピラミッドです

一般社団法人Jミルクの公式HPより引用

上にいくエビデンスほど、『根拠の強さ』が強くなります。

例えば、ある専門家が『〇〇はいい治療法です』というのと、無作為化比較試験(RCT)で『この研究では〜という病気に対して、〇〇という治療をした群としなかった群を比較して、〇〇の治療はよい結果を示しました』というのでは大きくエビデンスの強さが変わってくるということです

エビデンスだけでは決められない

じゃあしっかりエビデンスレベルの高い研究や論文をみて、それを対象者の人に当てはめればいいのね!

んーー。実はそんな簡単な話でもないんだなぁ・・・。このエビデンスだけではすべて説明できないことの方が多いんだ。特にリハビリテーションの分野では、対象者の背景が大きく影響するから、常に対象者中心の思いを大切にしなきゃいけないんだよ。

EBMを実践するなかで、必ず覚えておいて欲しいことは、医療というサービスは、結果をはじめから予測しずらいものであるということを念頭においてください

根拠に基づいた医療を展開したとしても、その結果が人によって異なることもあったり、または治療者−患者関係や置かれている環境によっても使えるエビデンスというのは異なります

エビデンスに基づく実戦に必要な能力として上図の6つの能力が挙げられています

特に⑤と⑥については、対象者の影響が大きく反映される場所です。

医療者としては、推奨したい治療法があったとしても、対象者の方がその治療を望まなかったり、治療に協力的になれないような病態を持っていたりすると実施するのが難しいのです

ですから、必ずしも根拠となった研究や論文通りに行えるということはできないケースが多く存在し、ケースバイケースで対象者にあった治療法をオーダーメイドで作っていくことが必要であると覚えておいてください

まとめ

エビデンスを使うって、とても大切で難しいことなんですね。でも、今回のことを知れただけでもよかったです。

それはよかった!このことを意識するだけでも、1つ対象者の方に有益になることは間違いないと思うよ!また今後もエビデンスに関わる知識を教えていくね

今回は、エビデンスとは何かということと、エビデンスが重視されるようなった歴史、エビデンスレベルなどについて説明してきました

  1. エビデンスとは『根拠』『証拠』という意味
  2. 根拠とは『もとになる理由』という意味
  3. EBMとは『個々の患者のケアに関わる意思を決定するために、最新かつ最良の根拠(エビデンス)を、一貫性を持って、明示的な態度で、思慮深く用いること』
  4. エビデンスが重要視されるようになった歴史がある
  5. エビデンスにもレベル(低い〜高い)がある
  6. エビデンスだけでは決まらないことが多くある

実践的にエビデンスを使用していく方法などについては次のシリーズより解説していきたいと思います

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!もし何か取り上げてほしい題材などありましたら、お気軽にコメントください!すべてのコメントに返信しております!

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