【心疾患に必要な知識】リハビリテーションで知っておきたい検査値『BNP』〜フィジカルアセスメントが重要〜

リハビリテーション

こんにちは〜ヒポ太郎です

私は普段作業療法士として回復期リハビリテーション病棟で臨床業務をしています

脳血管障害、整形外科障害、肺炎後や手術後の廃用症候群、脊髄損傷などを対象とすることが多いですが、同時的に心疾患(心不全等)をもっている人も少なくありません

特に脳血管疾患であれば、アテローム性脳血栓症の人など原因疾患が重度心不全であったということも多くみられます

そんな時負荷量を設定する指標の1つに心負荷の数値を示す『BNPを参考にします

『BNP』って聞いた事はあるわ。でも、どうしても採血データとかって苦手なのよね〜。特に私作業療法士だし、データの見方なんてよくわからないし・・・

  • 心疾患をもった対象者によくあうが、ちょっと見ないふりしてる
  • BNPって言葉は知っているけど、わからない
  • リハビリをする上でなにを気をつければ良いかわからない

このような疑問をもたれている方は本記事を読む事で解決の方向へ向かうはずです!

今回の記事を読む事で

  • BNPがどのようなものかを理解できる
  • BNPが上がればなにを示しているのか理解できる
  • BNPが上昇した時は何に気をつけてリハビリすれば良いか理解できる

以上のことが理解できます

結論:100pg/mL以内であれば様子見で通常リハでOK、100〜200pg/mLは増減に注意しつつリハ、200pg/mL以上はリハは最低レベルで心不全の要治療リハビリの時には低灌流所見、うっ血所見、心音などに注意できればOK

我々セラピストは検査から診断を下すことはありません

結局は臨床場面でのリスク管理や負荷量の設定、フィジカルアセスメントに繋がることがすべてです

本記事では様々ある検査値のなかの『BNP』に焦点を当てて必要な知識とリハビリテーションに活用する方法をかいていこうと思います

心不全の基礎知識はこちら→【循環器】心不全の知識とリハビリテーション

BNPってなに?

BNP 基準値:18.4pg/ml以下

BNPとは『脳性ナトリウム利尿ペプチド』の略称で、心臓(おもに心室)から分泌されるホルモンです。心臓を守るためのホルモンであり、心臓への負担が大きくなる(心室充満圧が増加する)と心室から分泌され増加します。心不全の診断や重症度の判定に用いられます。

要はBNPが上昇するって事は、心臓(心室)に負荷がかかってるって事

という解釈で概ねOKでしょう

ホルモンの一種であり、BNPは心臓を守るための役割を担っているのですね

『増えた=悪い』ではなくて、『増えた=負担を減らそうとホルモンを出してる』という解釈が必要です

BNPの役割とは?

BNPの役割はナトリウム利尿(ナトリウム排泄に伴う水の排泄)、血管拡張作用、交感神経系抑制、RA系(レニン–アンギオテンシン系)抑制などの心血管保護作用のほかに、脂肪分解促進、インスリン抵抗性改善などの代謝作用を有している

リハスタッフのための イチからわかる臨床検査値活用術

上記で述べたように『BNP上がってるから、負荷量に注意して』といって、BNPがなんぞやっていうことを理解していない人がいます

なんで増えているのか、増えることで体にどんな変化が生じるのかを考えれるようになるといいですね

BNP=悪いモノではありません!

増加していることで、心臓を守ろうとしているということを忘れないようにしてください

様々な生理学的作用があってBNPは上昇しているのです

じゃあ『BNPが上がってるから注意して』いわれて何に注意していくのか?

BNPの参考値・危険値

日本心不全学会公式HPより引用

日本心不全学会の数値をみてみると、病期にもよると思いますが、治療可能な施設(病院)にいる場合には、毎月の採決データを見ながら100pg/mLまでは負荷量を調整しつつリハビリを実施しても可能な範囲ではないかと思われます必ず主治医の指示の下

また、前回検査時よりも一気に100pg/ml以上増加している場合には心不全増加傾向ですので、主治医に相談しましょう

数値が400pg/ml以上であっても、病態的に安定しており、前回検査値より下降傾向にある場合には廃用症候群予防のための低負荷の運動を行なっていくことも検討していきましょう

リハビリ中に観察する身体所見ポイント

記事の最初にも書きましたが、

  • 低灌流所見
  • うっ血初見
  • 心音

に注意できればとりあえずはOKです

検査値、心電図などの客観的指標で判断し、治療選択をする専門は『医者』です

私たちが最も敏感になるべき場所は、臨床所見での評価(フィジカルアセスメント)です

ここと客観的検査を結びつけて、リハビリテーションに生かしていくことが重要となります

低灌流所見

低灌流所見:心不全状態など何らかの要因で心室充満圧が上昇(心収縮力の低下)し、全身へ送る血液の総量が減少した時に生じる所見です

低灌流状態で注意する所見は

  1. 安静時、運動時血圧の低下
  2. 安静時、運動時脈拍の増加
  3. 尿量の減少
  4. 全身倦怠感
  5. 四肢冷感
  6. 食欲の減退
  7. 意識障害(重度の場合)

このうち、リハビリ介入中でモニタリングするのは黄線で示した部分です

残りの項目については、病棟看護師やカルテ、普段の生活場面からの聴取が必要となります

リハビリ中の注意ポイント

リハビリ中にモニタリング部分は血圧測定、本人の主観的疲労感、触診による四肢冷感のチェックです

『早くて弱い脈を打っている、なんか常にしんどい感じがする、手足が冷たい』

こんな症状を見逃さないようにしましょう

直近2回分の血液検査値を確認し、その区間の運動負荷量の増減、イベントの有無、投薬の変更などがなかったかを確認しましょう

負荷が大きかった場合には、運動負荷をコントロールし、カンファレンスなどで主治医にリハビリの方針などを相談すると良いでしょう

食事量や尿量に関しては、看護師や介護士からの聴取、または本人からの聴取などで確認するか、排泄チェックなどを本人自身にモニタリングしてもらい、それを毎日チェックする方法も有用です

うっ血所見

BNP上昇で注意するうっ血所見は、BNP上昇のきっかけとなっているであろう心不全の病態によって変化します

左心不全:左心系が機能低下に陥れば、全身への拍出が低下して、肺へのうっ血による症状が出現します

右心不全:右心系が機能低下に陥れば、肺への血液を送り出すことができないため、全身の静脈血がうっ滞し症状が生じます

左右で所見が変動するため、注意が必要です

詳しくは【循環器】心不全の知識とリハビリテーションの記事を参考にしてみてください

ここでは両方合わせてのチェックポイントだけ紹介します

  • 全身の浮腫(右心不全)
  • 体重増加(右心不全)
  • 頸静脈怒張(右心不全)
  • 肺水腫所見(左心不全):労作時呼吸困難、湿性ラ音、SpO2 90%以下
  • 単純X線 CTR拡大、胸水出現 (左心不全)
  • 起座呼吸(左心不全)

などなどです!

大まかに分けると

肺うっ血による呼吸や全身疲労感などを主とする所見全身静脈うっ血による、浮腫や体重増加、食欲不振などを主とする所見に大別して考えるとわかりやすいでしょう

リハビリ中の注意ポイント

リハビリ中には両下肢(特に下腿と足部)の浮腫1週間の体重増加率「座ってた方が楽」などの発言SpO2の変動

などに注意をできるとよいでしょう

浮腫は指で押さえ、圧痕が残り、数秒間戻らない状態であれば(浮腫+)となります。また、その浮腫の状況によって、体に水分が貯留し体重増加につながるようであれば要注意です。1〜2日で1kg以上の体重変動があるようでしたら、主治医に相談を持ちかけましょう

3日間で2kg以上の体重増加がある場合にはリハ禁忌レベルとなりますので注意

また、肺うっ血などになっていると肺の換気機能が低下するため、横隔膜が下に広がりやすい「座位」の方が呼吸が容易になります

心音

聴診が可能な方は心音まで評価できるとなお良いです

心不全などにより断続性ラ音、Ⅲ音、Ⅳ音(gallop rhythm)などが聴診されます

Ⅲ音は拡張早期、心室の急速充満期に発生し、心尖部、特に左側臥位で聴きやすい。急速充満期に心房から心室へ流入した血流が心室壁で急に阻止された結果発生するが、阻止の程度が急であるほど音は強くなる。心室拡張期のコンプライアンスの減少で発生しやすい。僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症、心筋梗塞、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎などで聴取され、心不全の徴候として重要である。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ音が引き続いて聴取できると、馬の早駆けの音に似るので奔馬調(gallop rhythm)という。

医療従事者向け情報 トーアエイヨー 公式HPより引用

Ⅳ音は、心房収縮により心室へ駆出された血流が心室壁で急激に阻止された音であり心尖部、左側臥位で聴きやすい。病的心臓における診断的価値はⅢ音より大きい。心室拡張末期圧上昇時に聴取されやすく、肺高血圧症、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患、心筋炎、心筋症で聴取できる。

医療従事者向け情報 トーアエイヨー 公式HPより引用

とされています

リハビリ中の注意ポイント

リハビリ中では今まで触れてきた注意点に加えて、ベッドサイドで聴診を行ってから介入開始できると良いです。

上記のⅢ音、Ⅳ音に加えて、聴診所見による重症度分類として「Killip分類」というものがあります

  • Ⅰ群:心不全徴候なし
  • Ⅱ群:軽〜中等度の心不全(ラ音聴取域:全肺野の50%未満)
  • Ⅲ群:肺水腫(ラ音聴取域:全肺野の50%以上)
  • Ⅳ群:心原生ショック

これらの評価分類などを参考に聴診により状態を把握できると良いかと思います

Ⅲ群の肺水腫では断続性ラ音のうち、粗く、低音性の「パチパチ」といった水泡音を聴取します

*あくまで評価の一つであり、セラピストが診断するわけではないので、必ず主治医に相談してからリハビリテーションを行いましょう

参考図書

コメント

タイトルとURLをコピーしました